橋爪/村井先生、よろしくお願い致します。
先回は、栄養が偏ってしまうと、いろいろ問題が起きてくるということをお話し頂きました。今回は食事の摂り方、食事と睡眠との関わりについて、お話しして頂きたいと思います。
みなさんにとっても深刻な、肥満についてはいかがでしょうか。
村井/そうですね。昔はカロリーを摂り過ぎると肥満になると言われていましたが、今の時代は時間栄養学という考え方があって、カロリーの摂り過ぎだけでなかったということが分かってきました。
橋爪/栄養と時間を組み合わせた学問ということですね。
村井/栄養の吸収は時間によって違っています。夜の食事は吸収されやすいので、たっぷり食べると肥満になります。朝はしっかり摂ってもエネルギー源となるので大丈夫です。朝のごはんと夜のごはんの代謝の率を比べると、朝の方が4倍ほど燃えやすい体になっていると言われています。
橋爪/それでは、ちゃんと朝ごはんを食べた方が良いですね。
村井/私はダイエットしているから朝食べないという方がいらっしゃいますが、朝食べないのは損をしています。
橋爪/一日の活動も鈍ってしまいますしね。
村井/もちろん、燃える体の時に食べたほうが一番良いです。それから、睡眠不足の方、4~5時間しか寝ないとか、それが長期に渡ってしまうと肥り易い体になってしまいます。その正体は、レプチンとグレリンです。
レプチンは食欲を抑制するホルモンです。だいたい食後20分くらいにレプチンが脂肪細胞から出てきます。ですから、早食いの人はそれが出る前にたくさん食べてしまっています。
一方、グレリンは胃から分泌されて食欲の中枢を刺激し、食欲を湧かせます。そして、空腹感を感じます。このバランスが狂ってしまうと、睡眠不足の人はたくさん食べたくなりますね。だからレプチンとグレリンのバランスが崩れて、夜遅く食事をすると、肥満まっしぐらとなります。
橋爪/食事は、15分とか20分とか良く噛んでゆっくりゆっくりと言われていますね。そして、夜遅くまで起きている人は間食もしますね。チップスをつまんだり、コーラを飲んだりしますね。
村井/そうすると、ますます体重が増えることになってしまいます。いろんな研究が報告されていますが、平均睡眠時間が6~5時間くらいから肥満度が上がってくると報告されています。
橋爪/良くOLさんでも、食べ物に気を付けてダイエットしているけれども、ちっとも痩せないと言う方がいらっしゃいますね。もしかしたら、睡眠の関係かもしれませんね。
村井/そうですね。睡眠は何時間とれているかを聞いてみたいですね。これは、栄養と体内時計は深い関係があるという時間栄養学の観点からですが、体内時計を考慮した食事の摂り方をしないと、やはり、肥ってしまいます。一日のうちに何をどのくらいの量食べればよいのか、また食べる速さとか、最近は食べる順番も重要と言われています。
橋爪/例えば、お野菜を先にとか。
村井/そうですね。食物繊維が含まれている野菜から食べましょう。その訳は血糖値の上昇を抑えてくれるからですね。急に上がるのを緩やかにしてくれる役割が食物繊維にはあります。野菜から食べるのは、理に適っているということになります。これが、時間栄養学の考え方で、カロリーが多過ぎるだけの問題ではないことに気付いて頂きたいです。
橋爪/必ずしもカロリーの問題だけではなく、睡眠の問題でもあるので、体内時計をきちんと整えることが必要ですね。最近は食事の仕方が非常に乱れている方も多いですね。
村井/夜遅く11時過ぎに食事をしたり、しかも早食いだったりするのは気を付けないといけないですね。どうしても夜遅く食事をしないといけない方は、夕方に軽いものを食べておいて、夜は減らすと良いです。
橋爪/食事をうまく、一日の中で調整するということですね。
村井/夜の食事はできれば量を減らして、寝る3時間前までに摂ることがベストです。
橋爪/朝食は必ず摂る、昼食は?
村井/時間栄養学的には、一日必ず3食摂ることが重要です。昼食もちゃんと食べて下さい。夜は少なめ、昔から言われる腹八分目に。昔の栄養学では、「夜はしっかり摂る」でしたが、今は変わりました。間違えないようにして頂きたいと思います。
橋爪/村井先生、ありがとうございました。 |